ケンメリこと日産 スカイライン(4代目)を振り返る! 今の中古車価格は? 流通量は?
2023/04/09
広告キャンペーンから「ケンメリ」の愛称が付けられた4代目スカイライン
国産旧車の中で高い知名度を誇るスカイライン。その中でも3代目の「ハコスカ」と同じく高い人気となっているのが4代目の通称「ケンメリ」ではないでしょうか?
そもそも「ケンメリ」とはハコスカの後を受けて1972年9月に登場した4代目スカイラインのこと。広告に“ケンとメリー”と名付けられた2人のカップルがスカイラインに乗って全国各地を旅するというシリーズものが制作され、そこから「ケンメリ」の愛称が付けられました。
その影響はすさまじく、現在でもCMのロケ地のひとつとなり、実際のCMにも登場した北海道美瑛町にあるポプラの木は「ケンとメリーの木」と呼ばれて観光名所になっているほどである他、CMソングも大ヒットとなるなど、社会現象と言える人気ぶりだったのです。
今回は、そんないまだに高い影響力をもつ4代目スカイラインの概要と中古車事情をチェックしてみましょう。
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日産 スカイライン/スカイラインセダン(4代目)×全国モデル概要:アイデンティティは継承しながらもアグレッシブなデザインとなったケンメリ
先代モデルが培ったスポーティなイメージを継承し、デザインアイコンともなったリアのサーフィンラインや丸目4灯のヘッドライトなどを受け継いだケンメリは、よりアグレッシブなデザインをまとって登場。特に2ドアハードトップクーペはかなり太めのCピラーをもっており、よりスポーティなイメージをプラスしていました。
また、2ドアと4ドアセダンのGT系グレードには丸型4灯式のテールランプを採用し、これはのちのスカイラインに脈々と受け継がれるアイデンティティのひとつとなっています。
ボディバリエーションはモデル途中で2ドアが追加されたハコスカとは異なり、デビュー当初から4ドアセダン、2ドアハードトップ、5ドアのワゴン&バンを用意。
搭載されるエンジンは、先代と同じく4気筒と6気筒が存在し、最も小排気量なものは先代の1.5Lから1.6Lに(4気筒)、そして1.8L(4気筒)、2L(6気筒)というラインナップ。先代に引き続き、4気筒搭載モデルは鼻先の短い“ショートノーズ”となっていました。
そして、デビュー翌年の1973年1月には2ドアハードトップをベースとした「ハードトップ2000GT-R」が復活。搭載されるエンジンは先代のGT-Rと同じく、レース直系のS20型直列6気筒エンジンを搭載。専用グリルやオーバーフェンダーなどで武装し、明らかにベース車とは異なる雰囲気をまとっていました。
しかし、このケンメリGT-Rは排出ガス規制の影響もあって、わずか200台ほどしか生産されず、先代のようにレースシーンで活躍することもなかったため、幻のGT-Rとして昔から貴重なモデルとされています。
1975年には4気筒エンジンを先代から搭載されていた旧プリンス自動車が開発したG系エンジンから、日産が開発したL系へと換装(排気量は変更なしで1.6Lと1.8Lを設定)。また、6気筒モデルには排出ガス規制に対応するために燃料供給装置をキャブレターから電子制御に改めたL20E型を搭載するなどし、1976年には全車で昭和51年排出ガス規制に適合しました。
そして、翌1977年8月に5代目スカイラインにバトンタッチする形で終売となったのでした。
【中古車情報】中古車掲載台数は40台弱。価格は軒並みレジェンド級!
ケンメリの中古車は、すべてボディタイプやグレードを合わせても40台弱とハコスカよりも若干少ない台数となっており、そのうち半数以上が「価格応談」となっている状況です。
掲載台数が多く人気なのはやはり6気筒エンジンを積んだ2ドアハードトップモデルで、GT-R仕様や、昔からの定番である2.8Lエンジンに換装したものやキャブレター、マフラーを交換したものも多く存在していました。逆にフルノーマルに近い物件は希少となっており、価格応談となっているものがほとんどです。
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日産 スカイライン/スカイラインセダン(4代目)×全国価格が掲載されているものも1000万~2000万円とまさにケタ違いとなっており、1000万円を下回るのは4ドアセダンのみ。唯一のアンダー500万円の物件は4気筒エンジンを搭載した4ドアセダンとなっていました。
もともと希少なGT-Rは執筆時点で1台の掲載があり、こちらは当然のごとく価格応談。旧車イベントなどでもなかなかお目にかかることができないワゴンやバンは掲載ゼロとなっています。
このように決して買いやすいモデルではないものの、待っていても格安物件が出てくる類の車種ではないため、本気で購入を検討している人は専門店などの情報を定期的にチェックして、自分好みの1台が見つかったらそのチャンスを逃さないようにするしかなさそうです。
逆に購入後は人気車種ということもあって、専門店が補修部品を販売しているケースもあり、旧車の中では比較的維持しやすいモデルと言えるでしょう。
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日産 スカイライン/スカイラインセダン(4代目)×全国※記事内の情報は2023年4月5日時点のものです
自動車ライター
小鮒康一(フナタン)
スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。