メルセデス・ベンツ GLE▲数あるメルセデス・ベンツのSUVにおいても、上位に位置付けられるGLE。初代はゆとりある車内空間と日本でもギリ許容できるサイズ、力強い走りが魅力

初代GLEが中古車市場では狙い時に!

コンパクトからフルサイズ級まで、多彩なラインナップをもつメルセデス・ベンツのSUV。その中でもGLEはGクラス、GLSに次ぐ上位車種だ。

メルセデス・ベンツ内の車名ルールが統一されたことを受け、3代目Mクラスの名称が変更されて初代GLEは生まれた。基本設計はMクラス時代と共通だが、ATが7速から9速になるなど、性能面では大きく進化している。

2019年には2代目の現行型へとバトンタッチしたが、中古車市場でオイシイのは圧倒的に初代。流通台数は多くないが、平均価格470万円台と、新車当時の半値程度が相場となっているのである。

そのうえ、ボリュームゾーンは2017~2018年式と比較的新しく、コンディションの良い物件が多いのもオススメのポイント。

輸入車のプレミアムSUVが、この価格帯で手に入るなら明らかにお得……と言えるが、果たしてその初代GLEは本当に買いなのか? 動力性能やパッケージ、安全性能や装備といったバリューを検証していこう。

メルセデス・ベンツ GLE ▲スクエアなフォルムは荷役性などSUVとしての使い勝手が良いことの証し

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メルセデス・ベンツ GLE(初代)× 全国
 

【ボディサイズ・デザイン】迫力あるルックスと広大な車内空間が魅力

メルセデス・ベンツ GLE ▲2015年10月に登場の初代GLEのデザイン

SUVであることを示す「GL」と、車格を表す「E」を組み合わせた車名である「GLE」。初代の体躯は全長:4825mm × 全幅:1935 mm × 全高:1795mmと堂々としたものとなっている。

同時代に発売されていたBMW X5(3代目)よりも全長がやや短く、全幅はほぼ同じ。国産SUVでいうとトヨタ ランドクルーザープラド(現行型)と全長がほぼ同じで、全幅は50mmも広いというサイズ感だ。

日本では持て余してしまいそうな大きさだが、最小回転半径を5.5mとしており、取り回し性能はトヨタ ヴォクシーなどミドルサイズミニバンとほとんど変わらない。ボディサイズは大きいのに、意外なほど小回りが利く……のは、多くのメルセデス・ベンツに共通する美点だ。

SUVとしてコンベンショナルな四角いフォルムであり、ボディサイズの大きさが車内空間のゆとりに直結しているのも初代GLEの長所だろう。この大きさでも3列シートとせず、2列5名乗車としているので車内空間はゆとりタップリだ。

メルセデス・ベンツ GLE ▲こちらは2020年5月に登場したGLE(現行型)

ちなみに、現行型のGLEでは全長こそ初代とほとんど変わらないものの、全幅は2000mmを超えている。狭い道路での取り回しを考えたとき、ギリギリ許容できるのは初代まで……かもしれない。

フロントセクションは流麗、リアセクションは積載性を重視するSUVらしくスクエアな形状となっているのが、GLEにおけるデザイン上の特色。

バンパーまわりの造形はMクラス時代よりもやや丸味を帯び、有機的な印象となった。

メルセデス・ベンツ GLE ▲アンダーガード風デザインのフロントバンパーなどでSUVテイストを醸し出す

シンプルすぎるようにも見えるデザインだが、メルセデス・ベンツらしい節度や上品さが感じられて良い。

ちなみに、通常グレードではバンパー下部中央がアンダーガード風に処理されるが、「スポーツ」では開口部が強調されたスポーティなデザインとなる。
 

 

【動力性能・走行性能】ディーゼル特有の力強さがたまらない

RX ▲低速域から力強いディーゼルの加速感が心地よい

Mクラス時代にはV6ガソリンエンジンも用意されていたが、初代GLEに搭載されるパワーユニットは3L V6ディーゼルターボのみ。最新のコモンレールシステムや電子制御式可変ターボチャージャーなどによって最高出力258ps、最大620N・mを発揮する。

静粛性や低振動性にも優れており、フィーリングはガソリンライク。組み合わされるトランスミッションは9速AT「9G-TRONIC」で、こちらも洗練されている。なお通常グレードと「スポーツ」でパワーユニットに差異はない。

現行型のGLEのように、ガソリンエンジンの設定もなければISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)も装備されていないが、そのパワーフィールはトルクが厚く、スムーズと好評。このエンジンで十分と思わせる実力だ。

乗り心地については、しなやかで安定感に優れたもの。かといってハンドリングが犠牲にされているわけでもなく、接地感、路面トレース性も良好。プレミアムSUVにふさわしい品質だ。

車両重量は2250kgにもなるが、乗り味からは重さを感じない。考えてみるとオンロード志向の高級SUVというジャンルは、GLEのルーツである初代Mクラスが切り開いてきたのであって、そこには一日の長がある。
 

 

【安全性能・装備】高級SUVらしい充実ぶり

RX ▲初代GLEは全車、右ハンドルのみの設定(写真は海外仕様)

先進安全装備である「レーダーセーフティパッケージ」を全車標準とするなど、安全面も抜かりなし。車両周囲の状況をモニターする「360°カメラシステム」、自動操舵・ブレーキ機能により縦列駐車と車庫入れをアシストする「アクティブパーキングアシスト」機能も搭載されるなど、さすがメルセデスの上位車種と言える充実した装備内容だ。

利便性においても「インテリジェントドライブ」を搭載し、ステアリングアシスト付きの自動追従型クルーズコントロールをいち早く備えるなど、全く不足ない。

ちなみに、現行型では右折時に対向車線の車を検知して自動ブレーキをかける機能などが追加されている。GLEに限らず、安全性能については日々進化しているが、初代の装備内容は現在の水準から考えても必要十分と言えるものだ。
 

RX ▲この車格にして2列シートと割り切っているだけあり、後席の居住空間には余裕がある
 

【オススメの中古車】予算400万円台で十分に狙える上位グレードの「スポーツ」

RX ▲「スポーツ」は通常グレードと外観が異なるだけでなく、新車価格で約100万円高い上級グレードとしての位置付け

約3年半のモデルライフにおいて、大きなマイナーチェンジは実施されなかった。また、ラインナップも通常グレード「GLE 350d 4マチック」と「GLE 350d 4マチック(本革仕様)」「GLE 350d 4マチック スポーツ」のみと限定されている。中古車選びで迷う要素は少ないため、コンディションを重視して選びたい。

販売期間が短かったこともあり、中古車市場での流通量は50台ほど。かなり少なめだが、比較的良いコンディションに保たれている物件が多く、選択肢はまずまずある。

しかも、中古車平均価格は470万円台と、新車価格の半分ほどの水準。ひと世代前のモデルとはいえ、車格や走行性能、装備内容を考えると明らかにお得と言えるだろう。

車両価格500万円以下に絞ってみると、30台弱がヒット。初度登録から5年以内、走行距離5万km以下の物件も少なくない。オススメは実質的な上位グレードとなる「スポーツ」だ。走行距離や外観の状態だけでなく、レザーシートのヘタリ具合などにも注目して選ぼう。

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メルセデス・ベンツ GLE(初代) × 車両本体価格500万円以下 × 「スポーツ」

購入予算を500万円以上に設定すると、電動スライディングルーフ、ハーマンカードン社製オーディオ、AMG仕様のエアロパーツなどオプション付きの物件も十分に狙える。

この価格帯では走行距離3万km以下の物件が多く、コンディションの心配は少ない。装備内容に注目して選ぶと良いだろう。
 

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メルセデス・ベンツ GLE(初代) × 全国

※記事内の情報は2022年6月26日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/メルセデス・ベンツ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。