トヨタ エスティマ▲2019年秋に生産終了となったエスティマ。3代目は13年にわたり製造されたこともあり、最終型はかなり熟成されたモデルになっています

13年で3度のマイナーチェンジを行った3代目エスティマ

2019年10月、トヨタ エスティマは約30年の歴史に幕を下ろしました。

まだミニバンという言葉が一般的ではなかった1990年に、“トヨタの天才タマゴ”というキャッチコピーで登場した初代エスティマは、文字どおりタマゴ型の独創的なスタイルで他のスライドドア車とは一線を画すモデルとして大ヒットしました。

トヨタ エスティマ▲天才タマゴのキャッチコピーで登場した初代エスティマ

2.4Lエンジンを床下に置いたミッドシップレイアウトが可能にしたゆとりある室内空間、ウォークスルー機構に代表される使い勝手の良さ、そして商用車っぽさがない独創的なボディデザインなど、エスティマならではの魅力がたくさん詰まっていて、長く乗り続ける人も大勢いました。

2代目はミッドシップからFFレイアウトに変更されましたが、エスティマらしいタマゴ型デザインは継承されます。

そして、2006年1月にデビューした3代目。こちらも、初代から続くタマゴ型デザインを採用しました。

搭載エンジンは2.4Lと3.5Lのガソリンエンジン、そして2.4Lのハイブリッド(車名:エスティマハイブリッド)が用意されました。

ボディ形状は標準仕様と、エアロパーツでスポーティな雰囲気に仕立てられたアエラスシリーズに分かれます。

3代目エスティマは生産終了となる2019年まで、13年にわたり販売し続けられました。

自動車のモデルサイクルとしては、かなり長いと言えるでしょう。

そして13年の間に3度のマイナーチェンンジ(2008年、2012年、2016年)、さらに幾度もの小さな変更が施されました。

つまり生産終了となった直前のモデルは、エスティマの長い歴史の中で最も成熟したモデルとも言えるのです。

そんな最終型のエスティマ、エスティマハイブリッドの魅力と、狙い目グレードを紹介します。

エクステリアデザインを大幅に変更した最終型

トヨタ エスティマ▲最終型のアエラススマート。ツートーンは最終型のみの設定

最終型エスティマが登場したのは、2016年6月のマイナーチェンジです。

このタイミングで、エスティマとエスティマハイブリッドともにエアロでスポーティ性を高めたアエラスシリーズのみの展開になりました。

グレードはガソリンモデル、ハイブリッドともに装備の違いにより、アエラス、アエラスプレミアム、アエラススマート、アエラスプレミアムGの4種類で、エンジンは2.4Lのみになりました。

乗車人数はアエラスのみ7人乗りと8人乗りがあり、他はすべて7人乗り仕様です。

エスティマはFFと4WD、ハイブリッドはすべて4WDになっています。

そして、このマイナーチェンジでで最も大きく変わったのがエクステリアデザインです。

採用されたスタイルはトヨタが世界戦略車を中心に取り入れているキーンルックと呼ばれるもので、プリウス、マークX、C-HR、カローラなどでも用いられているものです。

アッパーグリルから連続してサイドまで回り込んだ薄型のヘッドランプや、特徴的な大開口のアンダーグリルと張り出したバンパーコーナーの造形が大きな特徴です。

ライトまわりのデザインが変わったことで精悍な顔つきになり、アンダーグリルが前に突き出したようなスタイルで立体感もアップしました。

トヨタ エスティマ▲立体的なテールライトが最終型の特徴。ボディの塗装は全色に小さなすり傷を自己修復するセルフリストアリングコートが施されています

リアスタイルはLEDライン発光ストップランプと、面発光テールランプを組み合わせたコンビネーションライトを採用。

高級車で多く採用される立体的な造形にすることで、とても2006年に登場したモデルとは思えない現代的な雰囲気を醸し出しています。

ボディカラーは、ミニバン初となるブラックルーフと組み合わせたツートーンカラーが用意されました。

このマイナーチェンジ以前のエスティマはアンダーグリルなど変更点があるものの、基本的にはフルモデルチェンジからの流れを踏襲していたので、このデザイン変更はかなりインパクトがありました。
 

トヨタ エスティマ▲エスティマハイブリッド アエラスプレミアムGの外観。エンブレムが青くなっているのがハイブリッドの特徴。ガラスは360°スーパーUVカットガラスに

そしてこのタイミングから、スーパーUVカットプライバシーガラスをリアドア・リアクオ―ター・バックドアにも設定。

前席だけでなく、2列目、3列目も乗車中の日焼けを気にしなくてよくなりました。これはファミリーユースを想定している人にとって、かなりポイントの高い変更点です。

もちろん、インテリアにも手が加えられています。内装色をブラックにするとともに、グレードごとにシートカラーを変えて上質な雰囲気を演出しています。

また、アエラススマートに採用されたホワイトのシートには、防汚処理が施されています。

トヨタ エスティマ▲エスティマハイブリッド アエラススマートのインテリア。防汚処理が施されているので、白でも安心!

最終型では先進安全装備を搭載

装備面の特長としては、全グレードにレーザーレーダーと単眼カメラを組み合わせた衝突回避支援パッケージ“Toyota Safety Sense C”が標準装備されました。その内容は以下のとおりです。

■衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ
レーザーレーダーと単眼カメラで先行車両を検知して、衝突の可能性があると判断した場合に警報が出ます。それでも衝突の恐れがある場合は、緊急ブレーキを作動させて衝突の回避や被害軽減を行うシステムです。

■レーンディパーチャーアラート
道路の白線や黄色線をカメラが認識。車線を逸脱する可能性がある場合に警報が出ます。

■オートマチックハイビーム
先行車のテールライトや対向車のヘッドライトなどをカメラで認識。ハイビームでの走行が可能な場合はハイビームで、対向車などを検知すると自動でロービームに切り替える機能です。

直近で値落ちしてお得な状況のエスティマ アエラス

2020年7月1日現在、2016年6月以降の最終型エスティマは約150台、エスティマハイブリッドは約40台の中古車が流通しています。

まずはエスティマのオススメグレードを見ていきましょう。

流通量が多いのはアエラスプレミアムですが、ベースグレードのアエラスは平均価格が約222万円とアエラスプレミアムより30万円以上安くなっています。
 

エスティマ アエラス 価格▲エスティマ アエラスの相場動向。3ヵ月で20万円近く値落ちしています

装備内容はそこまで大きく変わらないので、手ごろな価格でエスティマをゲットしたいという人はアエラスが狙い目と言えるでしょう。

「いや、エスティマのようなLクラスミニバンに乗るなら、それに見合う豪華なものが欲しい」という人は最上級グレードのアエラスプレミアムG狙いがオススメです。
 

トヨタ エスティマ▲エスティマ アエラスプレミアムGのインテリア。このクラスならではの上質な雰囲気を楽しめます

パワーバックドア、ナノイー付き前後エアコン、上級なシート表皮、木目調ドアアームレストなどの高級装備が盛りだくさん。

かつてはエアロが付かないGというグレードだったので少し地味な雰囲気がありましたが、最終型はアエラスになったのでスタイルもイケてます! そこが大きな魅力です。

エスティマ アエラスプレミアムGの平均価格は約267万円。アエラスプレミアムとアエラスプレミアムGの新車時価格の差は約30万円だったので、プレミアムGの中古車はかなりお買い得。

台数は少ないですが探してみる価値はあります。
 

▼検索条件

トヨタ エスティマ(3代目) × 2016年6月以降のモデル × 全国
 

ハイブリッドのアエラスは数が少ないため即断即決を

トヨタ エスティマハイブリッド アエラス 価格▲エスティマハイブリッド アエラスの相場動向。平均価格が急激に下がったのは修復歴ありの中古車が数台出てきたことにありそうですが、修復歴なしでも平均価格に近いものが見つかります

最終型に絞ると流通量がガクッと下がるエスティマハイブリッド。その中で流通量が多かったのは、15台程度あるベーシックなアエラス。

流通量の絶対数が少ないのであくまで参考値になりますが、この3ヵ月間で中古車の平均価格が40万円も下落して約255万円になっています。

この理由は修復歴がある中古車が増えたことにありそうです。 ただ、修復歴がないものでも走行距離が5万km未満で車両本体価格が260万円前後のものも見つかります。

ガソリンのアエラスプレミアムと同程度の価格帯というのは、かなりお得といえるでしょう。

エスティマハイブリッドは最大1500Wの電力が使えるなど、ハイブリッドならではの装備も備わります。

燃費重視派の人はもちろん、アウトドアを楽しむ人や日常的にリモートワークをしている人にとってもオススメの選択肢です。

エスティマ、エスティマハイブリッドともに後継モデルがないため、今後、流通台数は減ることはあっても大きく増えることは考えにくい状況です。

ミニバンの中でも「エスティマに乗りたい」と思っている人は、選択肢があるうちに早めのアクションがオススメです。
 

▼検索条件

トヨタ エスティマハイブリッド(3代目) × 2016年6月以降のモデル × 全国
 
文/高橋満(BRIDGE MAN) 写真/トヨタ
高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL