スズキ ジムニー ▲こちらのスズキ ジムニーはSUV風味ではなくマジなSUV、というか本格クロカンですが、あくまで「風味」を楽しむのが面白いSUV的軽自動車が今、増加しています。その注目モデルを見てみましょう!

軽とSUV概念のまさかの融合。それもまた面白いじゃないか!

2020年1月20日発売のカーセンサー3月号では「特徴を分けてみれば選びやすい! 今年からSUVがいいじゃない」という特集を展開している。

SUVといえば屈強なクロカン四駆がその原点ではあったものの、その後は、他ジャンルと文字どおりクロスオーバー(融合)しながら独自の進化を続けている真っ最中だ。

その中でも、最近特に目立ち始めたのが「SUV風味の軽自動車」。

SUVという概念が誕生した1990年代は、将来的にまさか軽自動車とSUVとのクロスオーバーが起こるとは誰も予想していなかったかもしれない。だがそれは今、実際に発生し、なおかつ「人気のジャンル」にすら育っている。

もちろんスズキ ジムニーなど一部の本格派を除けば、SUV風味の軽自動車とは文字どおり「風味」を楽しむためのものではある。だがそれを言うなら普通自動車のSUVであっても、悪路を本気でガンガン走っている人など少数派であるはずなので、「結局は同じこと」と言うこともできるのだ。

ということで、今注目すべき「SUV的軽自動車」5モデルをピックアップしてみよう!

スズキ ジムニー(4代目)

山林や豪雪地帯などで働く人のために、1970年から作られてきた超名作クロカン軽4WDシリーズの最新バージョンとして2018年7月に登場。

「基本的にはあくまでプロフェッショナルのための車」というジムニーならではの基本コンセプトは、初代から現行型にいたるまでまったくもって不変だ。

しかし現行型は直線的なフォルムや色使いなどが妙におしゃれであり、なおかつ舗装路での乗り心地も格段に良くなったことから、現行モデルの4代目は一般ユーザーにも大ブレイク。我々一般ユーザーとしては有名アウトドアブランドの高機能ウエアを羽織るように楽しみたい、おしゃれでありながら超本格的なSUVである。

中古車相場は約180万~約350万円とかなり上下に幅広いが、高額な個体は社外ホイールを履いたりリフトアップするなどのカスタマイズがされている場合がほとんど。一般的な物件は180万~260万円付近である場合が多い。

スズキ ジムニー▲直線的なデザインとポップかつシブいボディカラーで大人気の現行型スズキ ジムニー

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スズキ ジムニー(4代目)×修復歴なし×支払総額あり

三菱 eKクロス(初代)

三菱 eKシリ―ズ/日産 デイズは、三菱と日産の合弁会社が開発している軽自動車。現行型の開発は日産が主導し、2019年3月にデビューした。

その三菱版であるeKクロスはなんともクセのあるフロントグリルと、ちょっといい感じのSUV的ビジュアルにより、一部では日産版である「デイズ」以上の人気を誇っている。とはいえあくまでSUV“風”であるため、4WD版であっても悪路走破性はそこそこのレベル。

しかし、車全体としてのデキはお世辞抜きでクラストップレベル。車台は頑強かつしなやかで、パワーユニットには電気モーターとリチウムイオン電池を組み合わせたマイルドハイブリッドシステムも採用。買い物からレジャーまで、日常の様々なシーンで大活躍するはずのSUV“風”軽自動車だ。

現在の中古車相場は120万~200万円ほどで、自然吸気エンジン搭載グレードを探す場合は120万~190万円、活発なターボエンジン搭載グレードを狙う場合は150万~200万円ぐらいというのが予算の目安となる。

三菱 eKクロス▲兄貴分であるデリカD:5をほうふつさせるド派手なフロントグリルが特徴の三菱 eKクロス

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三菱 eKクロス(初代)×修復歴なし×支払総額あり

スズキ ハスラー(初代)

現行型eKクロスに先んじること約5年、2014年1月にデビューした人気軽クロスオーバーがこちらスズキ ハスラー。今年1月20日に新型が発売となったため、こちらは「旧型」になりたてほやほやだ。

軽ワゴンならではの広い室内空間と、なんとも素敵なSUVテイストのデザインで大ヒットを記録した初代ハスラーは、基本的にはFFが中心となるものの、全グレードに4WDを設定。また急坂を下る際に便利な「ヒルディセントコントロール」や、雪道などでの発進をサポートする「グリップコントロール」も軽自動車として初めて採用。本格的な悪路をラクラク走破できるほどではないが、4WD版の初代ハスラーはある程度のラフロードであれば十分使えるだけの性能は有している。

以前は高値安定相場が続いていた中古車相場だが、ここ最近はなかなかお手頃となり、特に1月20日に新型が登場したことでさらなるお手頃化が進んでいる。

具体的には自然吸気エンジンの上級グレードである「X」の低走行物件でも約90万円から探すことができ、「Xターボ」の同じく低走行物件も110万円付近から見つけることが可能。そして流通量も非常に豊富だ。

スズキ ハスラー▲「軽クロスオーバー」というジャンルを躍進させた立役者といえる旧型スズキ ハスラー

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スズキ ハスラー(初代)×修復歴なし×支払総額あり

ダイハツ キャスト(初代)

キャストは2015年9月に発売されたダイハツの軽自動車。同じキャストの中でも「スタイル」「スポーツ」「アクティバ」という3つのバリエーションが存在し、その中でSUVテイストを有しているのが「アクティバ」だ。

アクティバは専用サスペンションにより車高を「スタイル」より30mm高め、最低地上高も同様に高くなっている。とはいえFF版はあくまで「SUVっぽい雰囲気を楽しむための車」と言えるが、4WD版はグリップサポートやDAC(ダウンヒルアシストコントロール)を標準装備。雪道などでもまずまず重宝する軽自動車に仕上がっている。

中古車相場は自然吸気エンジン搭載グレードが80万~170万円あたりで、ターボエンジン搭載グレードは130万~180万円といったところ。値ごろ感が強いのは走行2万km前後で総額120万円あたりのターボ車だが、流通量は自然吸気版の方が圧倒的に多い。

ダイハツ キャスト アクティバ▲どことなくミニのような(?)デザインが特徴となるダイハツ キャスト アクティバ

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ダイハツ キャスト(初代)×アクティバ×修復歴なし×支払総額あり

スズキ スペーシア(2代目)ギア

この軽ハイトワゴンを「SUV」に分類すべきかどうかというのは意見が別れれるところだろう。だが箱型であってもSUV“風”の外装デザインをまとっているのは確かで、また専用デザインとなるインテリアも非常にスポーティな味わいがある。それゆえスズキ スペーシア ギアを「SUV的軽自動車」にカテゴライズしても決して間違いではないはず。

グレードは「ハイブリッドXZ」と「ハイブリッドXZターボ」の2種類で、両グレードとも発進時にモーターのみで走行できるマイルドハイブリッド機構を採用している。

全高1800mmとかなり背が高い車ではあるが、最新世代の車台を使っているためその走りっぷりはかなり安定しており、背高のっぽのハイトワゴンであることをほとんど感じさせない。このカタチと雰囲気がツボにはまったならば「買い推奨」の1台だ。

中古車の流通量は全国663台と決して少なくはなく(2020年1月下旬現在)、中古車相場はハイブリッドXZが140万~200万円で、より活発なハイブリッドXZターボが160万~220万円といったところ。とってもいい車だが、中古車相場が決して格安ではない点が玉にキズか?

スズキ スペーシア ギア▲「SUV風味の軽ハイトワゴン」と言えるスズキ スペーシア ギア

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スズキ スペーシア(2代目)×ギア×修復歴なし×支払総額あり
文/伊達軍曹、写真/スズキ、三菱自動車、ダイハツ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。