▲40代後半から60代ぐらいの中高年世代に最適な輸入車を探し求める当シリーズ。今回は、先進安全装備の面では正直弱いものの、それ以外の点ではこの世代にかなりハマりそうな「旧型アウディTT」に注目してみます! ▲40代後半から60代ぐらいの中高年世代に最適な輸入車を探し求める当シリーズ。今回は、先進安全装備の面では正直弱いものの、それ以外の点ではこの世代にかなりハマりそうな「旧型アウディTT」に注目してみます!

中高年とはいえ少々の「華」は欲しいかも

若者には若者の都合や事情があるように、中高年には中高年ならではのモロモロがある。それゆえ、人間も五十の声を聞く頃からは車選びの基準をそれまでとは少々変え、「中高年ならではの指針」を採用するべきだと考えている。

で、筆者が考える「中高年ならではの指針」とは、さしあたり以下の4ヵ条だ。

1. つまらん車は買わない
(つまらん車に費やす時間など残ってない!)

2. 無駄に大きな車は買わない
(空間認識能力も正直低下してるし)

3. ある程度「上質」な車を選ぶ
(安いモノでもカッコよく見えるのは若者だけ)

4. 先進安全装備の有無にこだわる
(年とともにヒヤリ・ハットは必ず増える)

以上を踏まえ、過日は現行プジョー 308のクリーンディーゼル搭載車を推奨させていただいた。



だがその後よくよく考えてみたところ、「……とはいえもう少し華がある車、例えば旧型アウディ TTあたりの方が、我々中高年の日々は何かと潤うのかも?」と思うに至った。

次章以降、筆者を含む親愛なる中高年各位に旧型アウディ TTの各グレードを推奨したい詳細な理由を述べる。

▲こちらが旧型アウディ TT。搭載エンジンは1.8L/2Lの直噴直4ターボと3.2L V6の3種類だが、中古車市場ではV6 3.2Lは希少。駆動方式はグレードによりフルタイム4WDと2WD(FF)が混在している▲こちらが旧型アウディ TT。搭載エンジンは1.8L/2Lの直噴直4ターボと3.2L V6の3種類だが、中古車市場ではV6 3.2Lは希少。駆動方式はグレードによりフルタイム4WDと2WD(FF)が混在している
▲かなり斬新なデザインだった初代TTと比べるとややおとなしめな印象となる旧型(2代目)TTのリアビュー。ただ、このぐらいの落ち着きがあるデザインの方が中高年世代には向いているとも言えそうだ▲かなり斬新なデザインだった初代TTと比べるとややおとなしめな印象となる旧型(2代目)TTのリアビュー。ただ、このぐらいの落ち着きがあるデザインの方が中高年世代には向いているとも言えそうだ

すべてがイケメン、というか「ハンサム」

アウディ TTとは、ドイツのアウディAGが1998年から製造販売している前輪駆動または4WDの2+2クーペ。他にオープン2シーターの「TTロードスター」や高出力版の「TTS」といったモデルも存在するが、とりあえず一般的な「TTクーペ」に絞って話を進める。

初代TT(タイプ8N)の登場は前述のとおり1998年で、その後2006年にフルモデルチェンジが行われ、タイプ8Jこと2代目に進化した。そして2015年には再度のフルモデルチェンジが行われて「タイプ8S」と呼ばれる型式になり、現在はそれが新車として全国のアウディディーラーで販売されている。

で、今回中高年諸兄にオススメしたいのは、2006年から2015年まで販売された2代目というか旧型のTTクーペだ。

なぜその世代をオススメするかと言えば、シンプルに言って「走りもビジュアルもかなりナイスなのに、ぶっちゃけまあまあお安いから」である。

▲グレードやオプション、そして年式によって微妙な違いはあるが、旧型アウディ TTの車内はおおむねこのようなデザイン。写真は2007年モデルで、本国仕様ゆえ左ハンドルだが、日本仕様はすべて右ハンドル▲グレードやオプション、そして年式によって微妙な違いはあるが、旧型アウディ TTの車内はおおむねこのようなデザイン。写真は2007年モデルで、本国仕様ゆえ左ハンドルだが、日本仕様はすべて右ハンドル

走りに関して言えば、当然ながら2015年以降の最新型(第3世代)の方が総合的には優れている。しかし2代目TTも、ごく普通に公道を走らせる限りにおいては「なかなかのもの」だ。

ASF(アウディ・スペース・フレーム)と呼ばれるアルミボディの採用で軽量化を果たした2代目TTは、非常にスタビリティ(安定性)が高いと同時に軽快でもあるという、二律背反な動的世界を見事に構築している。そりゃ現行型と直接比較をすればあらも見えるわけが、そうでなければ「すんばらしい!」と、思わず昭和なフレーズも口をつくことだろう。

ビジュアルも、ご覧のとおりの正統派イケメン。や、イケメンというよりは「ハンサム」という古語の方が、この車には合うだろうか。世界に衝撃を与えた初代TTほどの斬新さはないが、この端正なハンサムボディもなかなか良きモノである。かなりモダンな現行型よりもこのぐらいのニュアンスの方が、我々中高年には程良くマッチするだろう。

▲2+2クーペではあるが、アウディTTの荷室は意外と広い。写真のように後部座席を畳んでしまえばゴルフバッグ2つを余裕で飲み込むほどだ。ゴルフに限らず、さまざまな趣味に使うこともできる車なのだ▲2+2クーペではあるが、アウディTTの荷室は意外と広い。写真のように後部座席を畳んでしまえばゴルフバッグ2つを余裕で飲み込むほどだ。ゴルフに限らず、さまざまな趣味に使うこともできる車なのだ

中高年的狙い目はズバリ総額200万円ちょいの1.8 TFSI

そのようにかなりステキな旧型アウディ TTだが、中古車相場は思いのほかお手頃だ。

具体的には、走行3万km台までの物件が総額150万~290万円あたりで狙える状況。もちろん総額300万円以上となる高額物件も多いのだが、100万円台または200万円台でもぜんぜん狙えるというのが、昨今の旧型TT相場なのだ。

このあたりの手頃な価格帯で狙える旧型アウディ TTは、おおむね以下のグレードとなる。

【カテゴリー1:07~09年式付近の2.0 TFSI】
最高出力200psの2L直4ターボを搭載する初期のエントリーグレードで、駆動方式はFF。

【カテゴリー2:08~12年式付近の2.0 TFSIクワトロ】
2008年9月に追加されたグレードで、エンジンはFFの2.0TFSIと同一だが、こちらの駆動方式はフルタイム4WDとなる。

【カテゴリー3:12~13年式付近の1.8 TFSI】
2012年1月に追加された新しいエントリーグレード。エンジンは最高出力160psの1.8L直4ターボで、駆動方式はFF。

どれを選ぶかは各自の好みとご縁次第だが、筆者としてはカテゴリー3の「1.8 TFSI」をオススメしたい。なぜならばまず第一に、このあたりの輸入車を中古で買うのであれば、やはり年式と設計は「新しければ新しいほど何かと安心な場合が多い」ということ。

そして第二に、中高年世代ともなるともはや目を三角にして公道をぶっ飛ばす人もほとんどいないはずゆえ、程良いパワーとまあまあの燃費(14.6km/L)となる1.8Lターボの方で十分なのではないか……と心底思うからだ。

▲旧型TTは2010年9月にマイナーチェンジを実施。2Lエンジンの出力とトルクが向上するとともに、LEDポジショニングランプが新たに標準装備となった。写真はそのマイナーチェンジ以降のモデル▲旧型TTは2010年9月にマイナーチェンジを実施。2Lエンジンの出力とトルクが向上するとともに、LEDポジショニングランプが新たに標準装備となった。写真はそのマイナーチェンジ以降のモデル

以上のとおり、「なかなか運転が楽しくて」「程良くコンパクトなボディで」「上質感もある」という、まさに中高年に最適とも思える旧型アウディ TT。しかし中高年4ヵ条の最後にあたる「先進安全装備」に関しては、正直弱い。

現行TTにはいろいろとその種の安全装備が付いているのだが、この世代のTTはせいぜいオプション装備としてクルーズコントロール(アクティブではないタイプ)付きの個体もある程度。

ここが中高年的には正直微妙なのだが、それを押してでも乗るだけの価値というか色香が、この車にはあるはず。程良くセクシーな2+2クーペをお望みの諸兄には、やはりオススメしたい存在だ。

text/伊達軍曹
photo/アウディ

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総額200万円ちょい×3万㎞台まで×全国