【試乗】スバル XV|「アドバンス」というグレード名に込められた、電動化へのビジョンが伝わってくる
2021/08/30
力強くデコラティブになった熟成モデル
スバルの世界戦略プラットフォームSGP(スバルグローバルプラットフォーム)を投入した3代目“XV”も現時点で4年目に突入しているが、昨年2020年9月に改良モデル(アプライドE型)が発表された。
スバル好きの方にとっては今さら? と思われるかもしれないが、1年ほど経過しE型の中古車が出始めているこのタイミングで、改めて試乗する機会を得たためインプレッションをお届けしたい。
今回試乗したのは、スバル XVの中で最上位モデルのXV アドバンスだ。
大幅な改良モデルということであるが、エクステリアを見てみると力強さをさらに強調したグリルやバンパーを採用しており、スバルとしては珍しくデコラティブな印象だ。
改良以前の顔つきは上品でいささかシティ感あふれる部分もあったが、この新型では思い切った変更を加え力強いデザインになったと感じる。
また、ホイールは切削で表したキャタピラのような模様で、これも力強い見た目に貢献している。
そして、XV アドバンスの最大の特徴は、“e-BOXER”と呼ばれる2.0L NA 直噴ボクサーユニットにモーターを搭載したシンメトリカルAWDだということだ。
そもそもNAのパワーユニットはトルク変動が少なく、そこに瞬時に最大トルクを発生できるモーターを搭載しているため、低速時から内燃機関のネガティブな部分をスポイルできる利点がある。
もちろん軽い負荷の状況では、モーターのみで走らせることもできる。
e-BOXERのとても良い点は、縦置きトランスミッションに一直線にモーターの動力を加えているので、前後の車軸に適切に分配できることだ。
モーターは14psに満たない出力と6.6kgf・mのトルクなので、滑りやすい状況での発進時や段差などを越える場合のコントロールは、比較的行いやすいはずだ。
スバルらしいこだわりの、「いざというときの後押し」の考え方を感じる。
スバルの電動化に対するビジョンを体現
アクセルを少しばかり踏み込み、ゆっくりとスタートする。走り出しはEV走行で静かで、改良前よりもソフトなフィーリングだ。
スピードが出てくると、エンジンが始動する。2.0L直噴ボクサーユニットとスバルのCVT・リニアトロニックの組み合わせは、以前よりもエンジンへの負荷が少なくなったせいだろうか? より静かになったようだ。
発進時など大きなトルクを必要とする際に、モーターはとても有効だ。さらに、踏み込んでみるとエンジンンのトルクの谷間を軽くアシストして、よりスムーズな加速を手助けしている。
加速の際には、モーターのアシストを積極的にするセッティングになっているようだ。
高負荷の上り坂ではわかりにくいが、フラットな路面ではエンジン+モーターのシナジーな加速がいっそう肌で感じられる。
山間部の下りでは、積極的にエンジンブレーキを利かせながらコーナーリング中の安心感をドライバーに伝え、コーナーからの脱出時にパワーバンドに収まっているエンジンとモーターとが相まって力強く加速する。
そして、今回何よりも強く感じたのは、乗り心地のよさである。
改良前に比べると、ステアリングを切り始めたときのボディの動きがしなやかになった。しかも、路面からの小さな凸凹のシチュエーションでもしっとりとした感じがする。角を丸めたような雰囲気といったぐあいだろうか。
改良前は、高速走行時の横風にステアリングが敏感に反応することもあったが、改良後は安定性が増したようだ。
XVは路面とボディのクリアランスが大きいので、逆に積極的に空気を流し込んで高速時の安定感を高めるエッセンスが導入されている。
XV アドバンスは内燃機関から電動化に移っていくさなか、スバルの電動化へのビジョンを感じられるモデルである。
「アドバンス」というグレード名の意味が、とても理解できるのであった。
【試乗車 諸元・スペック表】
●2.0 アドバンス 4WD
型式 | 5AA-GTE | 最小回転半径 | 5.4m |
---|---|---|---|
駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.49m×1.8m×1.55m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.67m |
ミッション | CVT | 前トレッド/後トレッド | 1.56m/1.57m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 2.09m×1.52m×1.2m |
4WS | - | 車両重量 | 1550kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 1825kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.2m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
アイスシルバー・メタリック、クリスタルブラック・シリカ、ピュアレッド、ダークブルー・パール、クールグレーカーキ、ラグーンブルー・パール、マグネタイトグレー・メタリック、ホライゾンブルー・パール、プラズマイエロー・パール |
||
オプション色 |
クリスタルホワイト・パール |
||
掲載コメント |
- |
型式 | 5AA-GTE |
---|---|
駆動方式 | 4WD |
ドア数 | 5 |
ミッション | CVT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | アイスシルバー・メタリック、クリスタルブラック・シリカ、ピュアレッド、ダークブルー・パール、クールグレーカーキ、ラグーンブルー・パール、マグネタイトグレー・メタリック、ホライゾンブルー・パール、プラズマイエロー・パール |
オプション色 | クリスタルホワイト・パール |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.4m |
全長×全幅× 全高 |
4.49m×1.8m×1.55m |
ホイール ベース |
2.67m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.56m/1.57m |
室内(全長×全幅×全高) | 2.09m×1.52m×1.2m |
車両重量 | 1550kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | 1825kg |
最低地上高 | 0.2m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | FB20 | 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
---|---|---|---|
種類 | 水平方向4気筒DOHC | 使用燃料 | レギュラー |
過給器 | - | 燃料タンク容量 | 48リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 19.2km/L |
総排気量 | 1995cc | 燃費(WLTCモード) |
15km/L
└市街地:11.5km/L └郊外:15.5km/L └高速:16.8km/L |
燃費基準達成 | R02年度燃費基準 +10%達成車 |
||
最高出力 | 145ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
188(19.2)/4000 |
エンジン型式 | FB20 |
---|---|
種類 | 水平方向4気筒DOHC |
過給器 | - |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 1995cc |
最高出力 | 145ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
188(19.2)/4000 |
環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
使用燃料 | レギュラー |
燃料タンク容量 | 48リットル |
燃費(JC08モード) | 19.2km/L |
燃費(WLTCモード) | 15km/L
└市街地:11.5km/L └郊外: 15.5km/L └高速: 16.8km/L |
燃費基準達成 | R02年度燃費基準 +10%達成車 |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。