性能、フィーリングともにスポーツ性を損なわない6AT

  • スバル BRZ 走り|ニューモデル試乗
  • スバル BRZ インパネ|ニューモデル試乗
トヨタとの共同開発で誕生したFRスポーツクーペ。スバルはBRZ、トヨタは86の名前で販売されることは既報のとおりだ。BRZと86の違いはフロント回りのデザインやグレード設定に留まる。ただし、ボディカラーはBRZにスバル車で人気のボディカラーである“WRブルー”を、86に“オレンジメタリック”をそれぞれ独自に設定。ゆえにボディカラー数は同じである。最上級グレードのSと普及モデルのR、それぞれ6MTと6ATの両仕様をツインリンクもてぎのサーキットコースで試乗した。
  • スバル BRZ ホイール|ニューモデル試乗
  • スバル BRZ イメージ|ニューモデル試乗
乗り込んでの第一印象は、思った以上に視界は良好。フロントの両隅も良く見えるので車両感覚はつかみやすい。着座位置は地上から400mmというから、乗降性が良いと言われる車より200mmも低いことになる。

6MTのシフトストロークはそれほど短くはないが、入れたいポジションにスーッと吸い込まれるように決まる。6ATはパドルシフトによる積極的な走りも楽しいが、低速からロックアップ(直結)するSPORTモードがもたらすダイレクトな加速フィーリングは魅力的。積極的に選んで良い素晴らしいATである。

エンジン音は昔の高性能キャブレター車を現代風にアレンジした感覚。サウンドクリエイターという装置による演出も大きいが乗っていて心地良い。車の動きは素直だ。安全装備も装着されているが、介入は比較的遅く、自分が動かした分だけクルマが従ってくれる。足回りのセッティングは積極的にリアを流すいわゆるドリフト系とはほど遠く安定路線。特に高速走行時の車両安定性は昨今の車、ましてやFR駆動としては傑出。レーンチェンジ時の車両のブレは極めて少なくロングツーリングも快適にこなせる。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード S
駆動方式 FR
トランスミッション 6MT/6AT
全長×全幅×全高(mm) 4240×1775×1300
ホイールベース(mm) 2570
車両重量(kg) 1230(6MT)
乗車定員 4人
エンジン種類 水平対向4DOHC
総排気量 1998cc
最高出力[ps/rpm] 147kW(200ps)/7000rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 205N・m(20.9kg-m)/6400~6600rpm
車両本体価格 279万3000~287万1750円

RATING走行性能だけでは車は語れない。そこで快適装備の充実度や安全性の高さ、環境性能、燃費、バリューの5つのポイントで評価する(※点数は標準車のものです)

総合評価17/ 25
EQUIPMENT(装備)2/ 5
オーディオはレス仕様。Sは6スピーカー、Rは2スピーカーが付き、RSはスピーカーも省かれている。Sは最上級グレードらしくフルオートエアコン(左右独立温度調整機能付き)やオートライトが付く。
SAFETY(安全性)4/ 5
全グレードにVDC(車両安定デバイス)のほか、デュアルSRSエアバッグ、サイド&カーテンエアバッグが標準装備される。VDCは走行シーンに合わせて5種類のモードを選択できる。
ECO(環境性能)4/ 5
トヨタの直噴技術であるD-4Sは出力向上と同時に環境性能を高めるシステム。これを搭載することで平成17年排出ガス基準75%低減レベルで星4つに適合。同社のインプレッサと同等の性能を誇る。
MILEAGE(燃費)2/ 5
10・15モード燃費からJC08モードへの移行が行われる中、BRZは燃費値をJC08モードに表示を統一。Sグレードの場合、6MT車がローギアード化されていることで6AT車と同じ12.4km/Lとなる。
VALUE(バリュー)5/ 5
数値的にも十分高い性能を誇るが、見て、乗って実感できる“感性”に訴えてくる性能も併せもつモデルといえるこの勢いは中古車のスポーツカー市場へも影響を及ぼしそう。今後の動きにも注目したい。
写真:篠原晃一 文:高山正寛