▲今回試乗したのは、2019年5月に発表された新型のレクサス RC。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による公道試乗の模様をレポートする▲今回試乗したのは、2019年5月に発表された新型のレクサス RC。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による公道試乗の模様をレポートする

RCがマイナーチェンジ、レクサスらしい上質なクーペを誕生させた

レクサス高級2ドアスポーツクーペのRC・RCFが進化したということで、快晴の静岡・富士スピードウェイにて試乗会が行われた。

レクサスがRCを初めて発表してから4年半のときが過ぎたが、今回のマイナーチェンジは空力特性からサスペンション、ボディ剛性に至るまで徹底的に見直したと聞く。

RCは本マイナーチェンジ前にも2018年に一部改良をしており、そのモデルに試乗したときも、しなやかな動きと直進に対する安定性の向上がうかがえて成熟されていると感じていた。

そもそもレクサスの2ドアクーペには「LC」「RC」「RCF」と3つのモデルがラインナップされている。

その中で、クーペの基本というものをレクサスが描くとこうなるという基本モデルが“RC”である。

特に見事なのは、その骨格。

今まで、国産車ではできなかったフォルムを採用し、自社のレギュレーションを変更してまで作りあげている。

それだけRCには、様々な思いと素養が存分に含まれているのだ。

この記事では、レクサスクーペの根幹ともいえる「RC」のインプレッションをお伝えしたい。

▲2014年の発表以来、人を魅了するデザインと走りへの情熱を駆り立てる走行性能を兼ね備えたモデルとして君臨してきた、RCの深化した走り ▲2014年の発表以来、人を魅了するデザインと走りへの情熱を駆り立てる走行性能を兼ね備えたモデルとして君臨してきた、RCの深化した走り

美しく走るピュアなクーペ

今回のマイナーチェンジでは目に見えぬチューニングと目に見えるデザイン変更の両面から性能を向上させ、それが人を魅了するデザインへとつながっている。

マイナーチェンジの直前モデル、2018年モデルのサスペンションがかなり良いことは感じていた。

それをさらに上回る形でサスペンションの性能が向上していることには驚きだ。

外観として見える部分では、まずフロントまわりの空力特性を変えたヘッドライトとバンパーのデザインが変更された点は大きい。

また、レクサスが考えるクーペはFRレイアウト(フロントエンジン・リアドライブ方式)のパッケージングにすべてを連続的な線でリアまで描いている。

それは走りへの情熱を駆り立てる、走行性能も兼ね備えたデザインなのである。

本物を追求するにつれ、洗練されたデザインではなくなってしまうのは、決してエレガントなクーペではない。

そのことを留意して完成させたこのRCは、見事としかいいようがない。

今回のRCの試乗は、RC 300 F SPORT、RC 300 h version Lの2タイプを富士スピードウェイ周辺のワインディングと長い直線をミックスした一般道にて行った。

▲エレガントさを継承したレクサスクーペらしい心躍る走りを予感させるようなデザイン ▲エレガントさを継承したレクサスクーペらしい心躍る走りを予感させるようなデザイン

RC 300 F SPORT

初めにスポーティバージョンのRC 300 F SPORTの試乗だ。

4気筒2Lターボのこのユニットは、年々雑味が少なくなりマイルドな乗り味になっている。

伝統的に継承されていることではあるが、燃料コントロールがより進化している。

また、8段ATがトルクを上手に引き出すによって、自然吸気エンジン顔負けのドライバビリティだ。 

フロントとサイドステップ、リアサイドウインドまわりの空力パーツもすこぶる利いていて安定性が増した印象である。

一定の速度からの加速も上品で滑らかである。

高回転まで回す必要があるときも生じるが、むやみやたらに回転を上げるのは大人のクーペとはいえない。

今回のRCの魅力であるシャシー性能に委ねて走るのが、最良の選択といえよう。

見事に手なづけることができれば、軽やかでワインディングは軽快に走れることに間違いない。

何といってもノーズが軽く、スイスイコーナーをさばき楽しく乗れる。

これは年を重ねた風格を軽やかに演じる、紳士淑女の2ドアに欠かせないパッケージングである。

低速からダンパーはすこぶる動き、大きなうなりのある路面においても収束は速い。

RCの中でも価格を抑えたモデルであるが、性能からすると通好みの玄人モデルともいえる。

▲RC 300 F SPORTはブランド統一の新しいFメッシュパターンを はじめとする、専用の内外装アイテムの他、LS・LCなどのデザインを継承した力強いデザインの専用19インチアルミホイールを採用している ▲RC 300 F SPORTは、ブランド統一の新しいFメッシュパターンを始めとする、専用の内外装アイテムの他、LS・LCなどのデザインを継承した力強いデザインの専用19インチアルミホイールを採用している

RC 300h version L

続いてラグジュアリー仕様のハイブリッド車、RC 300h version Lに試乗する。

何といっても走り出しのEVモードの静粛性は、重厚なシャシー性能と相まって秘めた性能を感じさせる序章だ。

ハイブリッドを味わうのに急加速は芸がない。

ゆっくり発進してからアクセルを踏み込んでハイブリッドエンジンと共演させ、NAのパワーユニットのみでは成し得ない内燃機関のシンフォニーを味わうのだ。

RC 300h version Lは力を込めて走るよりも、余裕のある大人を体現したモデルといえよう。

タイトなワインディングよりも、低速から中速の市街地から中高速のクルージングにぴったりだ。

シャシー性能はコーナリングの切り返し時に反応が穏やかな節があるが、シャシーが上質なためスタビリティはすこぶる高い。

さりげなく環境にも配慮した要素を感じさせつつ走る姿は、静かな大人のクーペである。

カーブの速さうんぬんではなく、速さだけの美学では計り知れない、本質を理解するモデルがRC 300hなのである。

RC 300hは肩肘張らずに本物の裕福を醸し出し、余裕のある大人が乗るにふさわしいモデルだと感じる1台だ。

▲新型RC 300h version Lは直4エンジンを搭載し、最大178ps、22.5kgfmを発生する ▲新型RC 300h version Lは直4エンジンを搭載し、最大178ps、22.5kgf-mを発生する
▲version Lは標準搭載で超小型三眼LEDヘッドランプユニットを縦方向に配置している。F SPORTにはオプション設定 ▲version Lは標準搭載で超小型三眼LEDヘッドランプユニットを縦方向に配置している。F SPORTにはオプション設定
▲サイドウインドウモールのフィン形状化やリアバンパーへのダクト追加により、ホイールハウス内の圧力変動を軽減するなど、空力性能に徹底的にこだわっている ▲サイドウインドウモールのフィン形状化やリアバンパーへのダクト追加により、ホイールハウス内の圧力変動を軽減するなど、空力性能に徹底的にこだわっている
▲インストルメントパネル上にLCと同意匠のアナログクロックを採用することで、レクサスクーペとしての質感の高さを付与している ▲インストルメントパネル上にLCと同意匠のアナログクロックを採用することで、レクサスクーペとしての質感の高さを付与している
▲テールランプの造形も作り込まれ、職人の細部に宿る心意気を感じる。ストップランプの構造上、分断される部分を奥行きのあるランプを採用し、シームレスに見えるように工夫されている(写真はRC 300 F SPORT) ▲テールランプの造形も作り込まれ、職人の細部に宿る心意気を感じる。ストップランプの構造上、分断される部分を奥行きのあるランプを採用し、シームレスに見えるように工夫されている(写真はRC 300 F SPORT)
文/松本英雄、写真/尾形和美
 

【試乗車 諸元・スペック表】
●レクサス RC 300 Fスポーツ

型式 DBA-ASC10 最小回転半径 5.2m
駆動方式 FR 全長×全幅×全高 4.7m×1.84m×1.4m
ドア数 2 ホイールベース 2.73m
ミッション 8AT 前トレッド/後トレッド 1.58m/1.57m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 1.88m×1.52m×1.12m
4WS - 車両重量 1680kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 4名 車両総重量 1900kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.13m
マニュアルモード    
標準色

ホワイトノーヴァガラスフレーク、マーキュリーグレーマイカ、プラチナムシルバーメタリック、ソニックチタニウム、ブラック、グラファイトブラックガラスフレーク、スパークリングメテオメタリック

オプション色

ラディアントレッドコントラストL、ヒートブルーコントラストレイヤリング、ネープルスイエローコントラストL

掲載コメント

※G-Linkは初度登録から3年間無料

エンジン型式 8AR-FTS 環境対策エンジン H17年基準 ☆☆☆☆
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 66リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 12.2km/L
総排気量 1998cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 H27年度燃費基準
達成車
最高出力 245ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
350(35.7)/4400
型式 DBA-ASC10
駆動方式 FR
ドア数 2
ミッション 8AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ホワイトノーヴァガラスフレーク、マーキュリーグレーマイカ、プラチナムシルバーメタリック、ソニックチタニウム、ブラック、グラファイトブラックガラスフレーク、スパークリングメテオメタリック
オプション色 ラディアントレッドコントラストL、ヒートブルーコントラストレイヤリング、ネープルスイエローコントラストL
シート列数 2
乗車定員 4名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.2m
全長×全幅×
全高
4.7m×1.84m×1.4m
ホイール
ベース
2.73m
前トレッド/
後トレッド
1.58m/1.57m
室内(全長×全幅×全高) 1.88m×1.52m×1.12m
車両重量 1680kg
最大積載量 -kg
車両総重量 1900kg
最低地上高 0.13m
掲載用コメント ※G-Linkは初度登録から3年間無料
エンジン型式 8AR-FTS
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1998cc
最高出力 245ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
350(35.7)/4400
環境対策エンジン H17年基準 ☆☆☆☆
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 66リットル
燃費(JC08モード) 12.2km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 H27年度燃費基準 達成車

【試乗車 諸元・スペック表】
●レクサス RC 300h バージョンL

型式 DAA-AVC10 最小回転半径 5.2m
駆動方式 FR 全長×全幅×全高 4.7m×1.84m×1.4m
ドア数 2 ホイールベース 2.73m
ミッション CVT 前トレッド/後トレッド 1.58m/1.6m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 1.88m×1.52m×1.12m
4WS - 車両重量 1740kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 4名 車両総重量 1960kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.13m
マニュアルモード    
標準色

マーキュリーグレーマイカ、プラチナムシルバーメタリック、ソニックチタニウム、ブラック、ソニッククォーツ、グラファイトブラックガラスフレーク、スパークリングメテオメタリック

オプション色

ラディアントレッドコントラストL

掲載コメント

※G-Linkは初度登録から3年間無料

エンジン型式 2AR-FSE 環境対策エンジン H17年基準 ☆☆☆☆
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 レギュラー
過給器 - 燃料タンク容量 66リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 23.2km/L
総排気量 2493cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 H32年度燃費基準
達成車
最高出力 178ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
221(22.5)/4800
型式 DAA-AVC10
駆動方式 FR
ドア数 2
ミッション CVT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 マーキュリーグレーマイカ、プラチナムシルバーメタリック、ソニックチタニウム、ブラック、ソニッククォーツ、グラファイトブラックガラスフレーク、スパークリングメテオメタリック
オプション色 ラディアントレッドコントラストL
シート列数 2
乗車定員 4名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.2m
全長×全幅×
全高
4.7m×1.84m×1.4m
ホイール
ベース
2.73m
前トレッド/
後トレッド
1.58m/1.6m
室内(全長×全幅×全高) 1.88m×1.52m×1.12m
車両重量 1740kg
最大積載量 -kg
車両総重量 1960kg
最低地上高 0.13m
掲載用コメント ※G-Linkは初度登録から3年間無料
エンジン型式 2AR-FSE
種類 直列4気筒DOHC
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 2493cc
最高出力 178ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
221(22.5)/4800
環境対策エンジン H17年基準 ☆☆☆☆
使用燃料 レギュラー
燃料タンク容量 66リットル
燃費(JC08モード) 23.2km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 H32年度燃費基準 達成車
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。