・英調査会社LMC Automotiveが発表した9月のグローバル・ライトビークル(乗用車・小型商用車を指す。中大型商用車を除く)市場は2.9%増となった。季節調整済み年率換算販売は8,620万台/年となり、8月よりも少しだけ良い結果であった。
・成熟市場と多くの発展途上国市場のパフォーマンスが対照的な結果になっている状況が続いている。西欧と北米は改善している一方で、悲観的な経済情勢が存続する南米と東欧は前年同月比で大幅な減少に苦しんでいる。中国市場は成長率がスローダウンしているものの9月も拡大した。


グローバル・ライトビークル販売

北米

・9月の米国ライトビークル販売は、前年同月比9.4%増と好調な販売が続いている。季節調整済み年率換算の販売は8月よりは少し低かったがそれでも1,640万台/年となって、LMC Automotiveの2014年通年販売予測と一致した結果になった。2015年も更なる成長が予測されるが、市場は完全な回復状態に向かっており伸び率は低下するだろう。
・カナダの9月のライトビークル販売も前年同月比12.7%増と好調だった。9月の季節調整済み年率換算はまた200万台/年を少しだけ下回る高い販売ペースとなった。

欧州

・西欧のライトビークル市場は9月も5.5%拡大した。営業日が1日多かったことにも助けられて、すべての5大市場で前年同月比増となった。季節調整済み年率換算の販売は1,360万台/年へと増加して、通年販売予想の1,350万台を少し上回った。現在進行中の経済の拡大を背景に、2015年も更なる改善が予想される。
・西欧とは対照的に東欧は、急激に市場が縮小した。米欧の制裁や経済問題が自動車需要に重くのしかかり、ロシア市場は9月に前年同月比20%減となった。しかしながら、季節調整済み年率換算の販売は8月から少し改善しており、スクラップ・インセンティブの効果が反映されているかもしれない。東欧地域は2014年全体で大きく落ち込む方向に向かっている。2015年の販売見通しも2014年より良いとはいえない。

中国

・速報値によれば、9月の季節調整済み年率換算販売は、小型商用車販売が低迷して8月の2,370万台/年から少し減少し、2,320万台/年となった。前年同月比で、乗用車販売は伸び続けているが、小型商用車販売は2014年に入って9カ月のうち6カ月が減少、9月は12%近い減少になった。
・小型商用車市場の弱さは、現行規制よりもずっと厳しい中国の排気規制「国4」(Euro 4)の適用をめぐる不確実性に帰せられる。活気のない経済、特に不動産部門の明確なスローダウンとそれに続く投資の減速も、小型商用車需要を冷え込ませている。

アジア(中国以外)

・日本の9月の季節調整済み年率換算販売は驚いたことに520万台/年まで上昇、8月の季節調整済み年率換算販売から14%も増加した。このような高い年率換算販売は、インフレと実質賃金の低下のため持続させるのは難しいだろう。4月の消費税増税に加え、最近の急激な円安はさらにインフレを昂進させることが予想される。
・韓国の9月の季節調整済み年率換算販売は、低かった8月に続いて、152万台/年へ漸減した。一部の労働争議によって引き起こされた供給途絶の影響が残り、販売が冷え込んでいる。それでも2014年は過去最高の販売に向かって進んでいる。

南米

・ブラジルの9月の季節調整済み年率換算販売は、低かった8月から大きく回復して330万台/年まで上昇した。しかしながら、厳しくなりつつある与信、高いインフレ、10月後半に行われる大統領選を控えて政治的な不確実性があることから、市場は堅調からは程遠い状況のままである。
・アルゼンチン市場は、7月末の国家債務によるデフォルトにもかかわらず、良く持ちこたえている。9月の販売は、前年同月比30%減で過去3カ月とほぼ同じであった。悪化する経済は、自動車市場の最悪の状況がまだまだ終わらないということを示している。


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