・F1ドライバーのマックス・チルトンが今季は世界耐久選手権にフル参戦
・ル・マン24時間レース参戦、発表最後のドライバーアレックス・バンコム


マックス・チルトン、アレックス・バンコム


日産は、今季Nissan GT-R LM NISMOを駆る9人のドライバーの最後2人として、元F1ドライバーのマックス・チルトン(英国)と、日産のレギュラードライバー、アレックス・バンコム(英国)を発表しました。ジュネーブ・モーターショーに先駆けて発表を行ったもので、同イベントでは日産のLM P1マシンがヨーロッパで初めて公開されます。

今回日産に加入するマックス・チルトンはフォーミュラ1で2シーズンを過ごしていますが、デビューシーズンの2013年にはすべてのレースを完走しており、レース運びのうまさが光る新人として評判となりました。速さを兼ね備えたミスのない走りは現在のLM P1レースには欠かせない要素であり、今季新たなチームで挑む日産にとって大きな戦力となります。

「毎年着々に成長している日産のような、選手権でも存在感のあるメーカーで走るというお話をいただき、とても光栄に思います」とチルトンは述べました。「ル・マンは本当にやりがいのある挑戦ですし、ワークスドライバーとして、あのレースを走ることはまた一つ夢が実現したようなものです。私は常に最高レベルでレースをすることを目指しています。Nissan GT-R LM NISMOに投入された技術は、フォーミュラ1のマシンと同じくらい優れています。チームのみなさんにお会いして、このプロジェクトにかける思いや情熱を目の当たりにしました。コースで走る日が待ち切れません」

You Tubeのモータースポーツ動画のファンなら、アレックス・バンコムのレーシングスキルはおなじみでしょう。バンコムはオンボード動画から伝わる迫力のある走りで人気を集めており、特に昨年GTレース・モンツァでのオープニングラップで17台を抜き去った動画は、視聴数50万回を突破しています。一方で、日産のGTアカデミーが立ち上がった2008年から、勝者たちの指南役として活躍しています。今季はNissan GT-R LM NISMOに車載カメラを搭載して走るその日が待ち切れない思いでいます。

「まさに夢が実現したような思いです」とバンコムは述べました。「連絡を受けた時は衝撃が大き過ぎて、これまでにないくらい顔から笑みを消すことができませんでした。GTアカデミーの指南役を務めてきたことが報われました。特にルーカス(オルドネス)やヤン(マーデンボロー)のようなドライバーが成長したことを本当にうれしく思います。そして今度は、私が彼らと共にNissan GT-R LM NISMOでル・マンに参戦するのです。マシンのことはかなり理解していますし、その日が待ち切れません。斬新なデザインですし、新しいマシンならどれでも同じように、まだ開発やファインチューニングは必要ですが、とてもワクワクしていますしチームに参加することができて本当にうれしいです」

「チームにアレックスとマックスを迎えることができて、うれしく思います」とニスモのグローバルヘッドオブブランド、マーケティング&セールス、ダレン・コックスは述べました。「彼らはそれぞれ異なる経緯でチームに参加することになりました。アレックスはGT4の350Z でGT4ヨーロピアンカップに参戦して以来、日産でドライブしてもらうようになり、現在は日産のすべてのレーシングカーをドライブしています。マックスはF1での活躍が知られていますが、それより前、2007年にはわずか16歳でLM P1に参戦していました。この2人のドライバーが加わったことで、日産のLM P1のドライバーズラインナップは幅広いスキルを持つベストの顔ぶれとなりました。昨年F1、LM P2、GP3、GT3、V8、GT500に参戦していたドライバーが集まっているのです。もちろん、プレイステーション3のグランツーリスモ6で戦っていたドライバーもいます!」

チルトンは、マルク・ジェネ、ミハエル・クルム、ヤン・マーデンボロー、オリビエ・プラ、ハリー・ティンクネルとともに、4月12日、英国シルバーストンで行われるWECの開幕戦に参戦します。22号車、23 号車のドライバーの組み合わせについては、後日発表されます。

バンコムはル・マン24時間で、松田次生、ルーカス・オルドネスと共に#21 Nissan GT-R LM NISMOをドライブします。

今週は米国フロリダ州にあるセブリンク・インターナショナル・レースウェイでLM P1のテストを続けることになっており、マックス・チルトン、マルク・ジェネ、ヤン・マーデンボロー、オリビエ・プラ、ハリー・ティンクネルがドライバーを務めます。

マックス・チルトン
MAX CHILTON


生年月日:1991年4月21日
出身地:英国サリー、ライゲート
国籍:英国
言語:英語
ツィッター:@maxchilton

マックス・チルトンのレーシングキャリアは、わずか10歳の時にゴーカートから始まりました。F3マシンに乗ることができる16歳になるとすぐに、シングルシーターにステップアップします。16歳の誕生日当日が、初めて参戦したF3イベントのレース決勝日でした。

英国のサリーで生まれたチルトンは、伝統的な手段でシングルシーターのトップレベルに上り詰め、その間、優れたスキルと自信を発揮してきました。フォーミュラ3で活躍した後はGP2シリーズに挑み、それが認められてF1チームのマルシャと契約、フルタイムのフォーミュラ1ドライバーとなりました。

F1で2シーズンを経験して実力を身に付けたチルトンは今季、FIA世界耐久選手権にNissan GT-R LM NISMOで参戦します。

主要キャリア

2013 - 2014

・フォーミュラ1にマルシャF1チームから参戦。デビューシーズンにすべてのレースを完走した初のF1ドライバーに。2013、2014年はマシン開発にも貢献し、それまでチームが一度しか達成できなかったQ2に幾度も進出。

2012

・GP2シリーズにマルシャが支援するカーリンGP2チームから参戦。2勝、表彰台2回で選手権4位。ハンガリー戦で自身初のGP2優勝。
・マルシャのF1ヤングドライバーテスト を受けてオフィシャルリザーブドライバーに。

2011

・GP2シリーズにカーリンから参戦。経験を積みながら選手権20位に。
・フォースインディアのF1ヤングドライバーテストに挑戦。

2010

・GP2にオーシャンレーシングテクノロジーから参戦。

2009

・フォーミュラ3にカーリンから参戦。F3初優勝を飾った他、ポールポジション3回、2勝を挙げて選手権4位に。

2008

・フォーミュラ3にハイテックレーシングから参戦。オールトンパークで自身初のF3表彰台、モンツァでポールポジションを獲得。ポールポジション2回、表彰台2回で選手権10位に。

2007

・フォーミュラ3にアリーナインターナショナルから初参戦。
・シルバーストン1000kmに単独エントリーのザイテックLM P1で参戦、総合5位。

2005-2006

・14歳の時にT-Carsでレース参戦を開始。史上最年少でARDSテストに挑戦。デビューシーズンにポールポジションや優勝を多数獲得、2006年にはヨーロッパカート選手権に参戦を続け、ほとんどのレースでポールポジションを獲得して7勝をマーク。選手権2位に。

2000–2004:カート

・英国&ヨーロッパ選手権にカデット、ジュニアTKM、TKM、JICA、ICAで参戦。英国で複数勝利を挙げ、JICAチャンピオンカップでは同率チャンピオンに。

アレックス・バンコム
ALEX BUNCOMBE


生年月日:1981年8月28日
出身地: 英国サマセット、トーントン
国籍: 英国
言語:英語
ツィッター:@al_buncombe

「日産の秘密兵器」と称されたこともあるアレックス・バンコムは、日産のGTアカデミープログラムが開始された2008年から重要な役割を担ってきました。“アル”は各年の卒業生にとってのプロフェッショナルのチームメイトとして、豊富なレース経験と落ち着きのある態度でかけがえのない指導を行ってきました。最近では、英国GT選手権でクリス・ホイの指南役も務めました。

2009年のドバイ24時間でルーカス・オルドネスと共に参戦したバンコムは、同じコンビでGT4ヨーロピアンカップにNissan 350Zでフル参戦に挑み、1勝、2位を3回と活躍。選手権では僅差の2位でしたが、チームズタイトルを獲得しました。2011年には、ジョルダン・トレッソンと共にNissan 370Zでブランパン耐久シリーズに参戦し、GT4ヨーロピアンカップのタイトルを獲得しました。

2012年、バンコムは2011年のGTアカデミー勝者、ヤン・マーデンボローと組み、Nissan GT-R NISMO GT3でブランパン耐久シリーズと英国GT選手権という激戦区に挑みました。英国GTのニュルブルクリンク戦では、表彰台フィニッシュ。その後、ブランズハッチ戦では、#7アストンマーチン・バンテージGT3を相手に0.200秒差を振り切っての勝利を挙げました。さらにスネッタートンでも表彰台に上がり、新しいマシンでの開発シーズンでありながら英国GTタイトル獲得に僅差まで詰め寄りました。

ここ2シーズンはNissan GT-R NISMO GT3での参戦を続け、2013年にはブランパン耐久シリーズでタイトルを獲得。同年の富士スプリントカップではSUPER GT GT300部門で日本デビューを飾り、僅差で勝利を逃すほどの活躍を見せました。

2014年もブランパン耐久シリーズのシルバーストン戦で勝利を飾りましたが、モンツァとニュルブルクリンクでの活躍は大きな話題となりました。モンツァでは予選でテクニカルトラブルに見舞われ最後尾からのスタートとなりましたが、オープニングラップで32番手から一挙に15番手まで追い上げたのです。その後のニュルブルクリンク1000kmでも開幕スティントで13番手から首位に浮上と、その実力を裏付けました。

主要キャリア

2014

・ブランパン耐久シリーズに Nissan GT-R NISMO GT3で参戦。シルバーストン戦ではフローリアン・ストラウス、ニック・マクミレンと共にPro-Amクラス優勝。
・英国GT選手権にクリス・ホイのレギュラーチームメイトとして参戦。
・ニュルブルクリンク24時間にフローリアン・ストラウス、ニック・ハイドフェルドと共に参戦。ハイドフェルドの夜間走行中のヒットがありクラス11位でフィニッシュ。
・バサースト12時間にウォルフガング・ライプ、リック・ケリー、千代勝正と共に参戦。

2013

・ブランパン耐久シリーズとFIA GTシリーズにNissan GT-R NISMO GT3 で参戦。ブランパン・シルバーストン戦でPro-Amクラス優勝。NISMOアスリート同僚と共にPro-Amチームズ選手権タイトル獲得に貢献。
・ドバイ24時間にサビーヌ・シュミッツ、ピーター・パイツェラ、スティーブ・ドハティと共に参戦。Nissan 370Z NISMO GT4でクラス9位に。
・富士スプリントカップにSUPER GT GT300 Nissanで参戦。僅差で勝利を逃す。

2012

・英国GT選手権– ニュルブルクリンクでポールポジションと表彰台フィニッシュ、ブランズハッチで優勝、スネッタートンで表彰台フィニッシュ。
・ブランパン耐久シリーズ スポット参戦
・アトランタのプチ・ル・マンに参戦、日産エンジン搭載のグリーブス・モータースポーツのマシンでアレックス・ブランドル、トム・キンバースミスと共にLM P2クラス5位。

2011

・ブランパン耐久シリーズGT4チャンピオン、スパ24時間でクラス優勝
・ニュルブルクリンク24時間にRJN Nissan 370Z GT4で参戦、クラス6位。

2010

・GT4 ヨーロッパカップにRJNモータースポーツから参戦。
・スパ24時間、シルバーストン24時間、ニュルブルクリンク24時間に参戦。

2009

・ドバイ24時間にジョニー・ハーバート、ロブ・バーフ、ルーカス・オルドネスと共に参戦。クラス9位。
・GT4ヨーロッパカップにRJNモータースポーツから参戦。ドライバーズ選手権2位、チームズ選手権チャンピオン。
・ニュルブルクリンク24 時間、VLNレースの一部に参戦。

2008

・ニュルブルクリンク24時間、ドバイ24時間にRJNモータースポーツのNissan 350Zで参戦。
・GT4ヨーロッパ選手権に参戦– ドライバーズ選手権2位

2007

・FIA GT4レース4戦に参戦。2勝、2位2回。
・シルバーストン24時間参戦
・FIA GT3レース・シルバーストン戦にポルシェ997 GT3で参戦、総合7位(ポルシェ最上位)、ポルシェGT3カップ優勝。)

<関連情報>

「日産モータースポーツ」サイト