新型パサートが発表されたけど、8代目の中古車価格は今いくら? 最新相場とオススメの買い方・選び方を紹介
2024/07/24
新型パサートが発表! そうなると気になるのが旧型の中古車
1973年に初代が登場して以来、50年以上販売されているフォルクスワーゲンのロングセラー、パサート。先日、9代目となる最新型が発表された。
これまではセダンとステーションワゴン(ヴァリアント)という構成だったが、この9代目ではセダンが廃止され、ステーションワゴンのみとなる。今年中には販売が開始される予定だ。
もちろん9代目では走行性能や乗り心地が向上し、先進技術も進化しているはずだ。けれども、8代目だってかなり優秀だし、何より中古車なら手頃な価格で狙うことができる。
原稿執筆時点の中古車平均価格は約260万円。8代目の現時点での新車時車両本体価格が約522万~694万円であることを考えれば、その手頃感がわかるだろう。
先述のとおり、9代目の日本登場は年内。街中で見かけるようになるは来年以降だ。それまでは“現行型”として乗れる8代目。その概要を振り返りながら、今オススメの買い方・探し方を紹介しよう。
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フォルクスワーゲン パサートヴァリアント(8代目)×全国▼検索条件
フォルクスワーゲン パサート(6代目))×全国モデル概要:使い勝手のよいラゲージ、クラストップの低燃費、充実した先進運転支援機能を装備
日本では貴重なセダンがまたひとつ消えるのは残念だが、同じく希少なステーションワゴンだけでも残してくれたのはまだ救いかもしれない。
ただし、ご多分に漏れず9代目は、8代目(現在日本で現行型として販売されているモデル)より大きくなった。全幅こそ+30mmの1850mmだが、全長は4915mmと+130mmも伸びた。
その分、ラゲージ容量は増えるだろうが、日本で取り回すには大きすぎないだろうか。その点全長4785mmの8代目なら、まだメルセデス・ベンツのCクラスワゴン(5代目)とほぼ同じなので、日本の道路事情に合っていると言えそうだ。
2015年7月に上陸した8代目フォルクスワーゲン パサート。ボディタイプはセダンの「パサート」と、ステーションワゴンの「パサートヴァリアント」の2つがある。
車の骨格をなすのは、同グループの「MQB」アーキテクチャーだ。9代目がその進化版「MQBエボ」を使っていることが示すように、とても優秀な骨格で、これにより高い走行性能や乗り心地を得ている。
充実した先進運転支援機能が全車に標準装備されたことが8代目パサートの大きな特徴だ。例えば高速道路では、先行車の追従&ステアリングアシスト、渋滞時の停止&再発進を自動で行ってくれる、いわば半自動運転機能が備わる。
また、後方から接近する他車に気づかないままドライバーが車線変更しようとすると、ドアミラーのインジケーターが点滅し、ステアリングホイールが振動して警告を発するとともに、ステアリングを自動補正してくれる。
その他、スマートフォンと連携できる純正カーナビやオーディオ、テールゲートのハンズフリー開閉機能、運転席/助手席/後席の3ゾーンでそれぞれ別々に調整できるフルオートエアコンなどが、グレードに応じて装備された。
デビュー時搭載されたパワートレインは、1.4Lガソリンターボ×7速ATだったが、翌2016年6月には1.4Lガソリンターボのプラグインハイブリッドが、同年9月には2Lガソリンターボ×6速ATが、2018年2月には2Lディーゼルターボ×6速ATが追加され、選択肢が多いのが特徴だ。
モデルの変遷:マイナーチェンジで先進運転支援機能やスマートフォン連携機能などが進化
デビューの翌年、2016年11月に一部改良が行われ、装備の充実化が図られた。併せてエントリーグレードの名称が変更されているので注意が必要だ。
中古車を購入するうえで特に留意しておきたいのは、2021年4月のマイナーチェンジだろう。以降マイナーチェンジ前を前期型、後を後期型として解説する。
まず、パワートレインが3種類に整理されている。
従来の1.4Lターボに代わって、新たに1.5Lターボが採用され、従来の2Lディーゼルターボ×6速ATは7速AT化された。合わせてグレード名も変更されている。
さらに翌2022年4月には、パサートヴァリアントのみ、プラグインハイブリッド車が新システムを搭載し復活した。バッテリー容量が9.9kWhから13.0 kWhに増えたことで、満充電でのモーターのみの航続可能距離が57km(WLTCモード)となった。
同時に、従来の半自動運転機能はさらに強化された他、純正カーナビ&オーディオはスマートフォンとの連携がより容易になった。さらに、カーナビの画面も映せるディスプレイ式メーターパネルも採用されている。
また、内蔵通信モジュールが搭載されたことで、例えばスマートフォンでドアの施解錠ができるなどの機能が追加された(有料)。
その他、派生車種の4WD車「パサートオールトラック」が追加された。先代である7代目にも用意されたモデルで、2Lディーゼルターボを搭載し、最低地上高もパサートヴァリアントより30mm高められている。
グレード体系:前期型と後期型でグレード名が異なる
8代目パサートのグレード構成は下記のとおり。前期型ではセダンとステーションワゴン(ヴァリアント)のグレードは共通だが、後期型のセダンはRラインが廃止されている。なお、セダンは2023年11月で販売を終了している。
一部改良やマイナーチェンジで名称が変わっている他、マイナーチェンジでパワートレインが整理されていることに注意しよう。
●1.4Lターボ搭載車
・TSI トレンドライン
エントリーグレード。とはいえ、先進運転支援機能は上級グレードと同等だ。
・TSI コンフォートライン(2015年7月~2016年10月)
中核グレード。上記TSI トレンドラインに対し、3ゾーンフルオートエアコンやアルミホイールなどが標準装備となる。
・TSI エレガンスライン(2016年11月~2021年3月)
上記コンフォートラインにLEDヘッドライトなど機能の充実化が図られた際に、名称がこちらに変更された。
・TSI ハイライン
上級グレード。純正カーナビやレザーシート、パワーテールゲートなどが備わり、装備が充実している。
・TSI Rライン(2016年11月~2016年8月)
スポーティグレード。上記TSI ハイラインと同等の装備に加え、専用のエクステリアパーツが備わる。下記、2.0TSI Rラインの登場でラインナップから外れている。
●1.4Lターボのプラグインハイブリッドシステム搭載車(2016年6月~)
・GTE
プラグインハイブリッドシステム搭載車の中ではエントリーグレードとなるが、純正カーナビが標準装備されるなど、装備内容はTSI ハイラインなみに充実している。
・GTE アドヴァンス
プラグインハイブリッドシステム搭載車の上級グレード。ディスプレイ式メーターパネルがマイナーチェンジを待たず、いち早く採用され、走行性能の向上に寄与する車両制御技術「DCC」も標準装備された。
●2Lターボ車(2016年9月~)
・2.0TSI Rライン
スポーティグレード。上記TSI Rラインの後継グレードで、充実した装備に加え、専用のエクステリアパーツや車両制御システムの「DCC」が備わる。
●2Lディーゼルターボ車(2018年2月~)
・TDI エレガンスライン
2Lディーゼルターボ車の中核グレード。装備内容はTSI エレガンスラインと同じ。
・TDI ハイライン
2Lディーゼルターボ車の上級グレード。装備内容はTSI ハイラインと同じ。
前期型と比べてグレードが整理されている。なお、「Rライン」はパサートヴァリアントの2Lディーゼルターボ車のみの設定となる。
●1.5Lターボ車(TSI系)/2Lディーゼルターボ車(TDI系)
・TSI エレガンス/TDI エレガンス
エントリーグレードだが、先進運転支援機能は上級グレードとほぼ同等。
・TSI エレガンス アドバンス/TDI エレガンス アドバンス
・上級グレード。純正カーナビや、自車を俯瞰して見られるアラウンドビューモニター、本革シートなどが備わる。
・TDI Rライン(パサートヴァリアントのみ)
スポーティグレード。上記TDI エレガンス アドバンスの装備に加え、専用エクステリアや、車両制御システムの「DCC」が備わる。
●1.4Lターボのプラグインハイブリッドシステム搭載車
・GTE
前期型同様、装備充実のエントリーグレード。
・GTE アドヴァンス
プラグインハイブリッドシステム搭載車の最上級グレード。車両制御システムの「DCC」も備わる。
以上を踏まえ、ニーズ別のオススメを見ていこう。
中古車の選び方1:とにかく安くヴァリアントを狙うなら「TSI コンフォートライン」
ヴァリアントをお手頃価格で狙いたいなら、前期型の「TSI コンフォートライン」がオススメだ。こちらは上級グレードのTSIハイラインに対して1つ下のグレードになるが、そもそもパサート自体が同社の上位モデルということもあり、先進運転支援機能を中心に装備は充実している。
例えば、高速道路での運転が楽になる先行車追従機能(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は渋滞時でも対応するし、ウインカーを出さずに車線を変更しようとすると警告を発する機能も上位グレードと同じだ。
純正ナビの代わりに純正オーディオが備わるが、液晶ディスプレイがあり、Apple CarPlayやAndroid Autoに対応しているので、スマートフォンのGoogleマップなどが利用できる。いちいちディーラーで毎年お金を払って地図を書き換えるより、その方がずっと楽だしお得かもしれない。
ただし、テールゲートが電動ではなく、ヘッドライトもLEDではなくハロゲンライトで、リアビューカメラがないなど、他の装備は簡略化されているが、その分かなり価格は手頃になっており、原稿執筆時点で走行距離5万km程度の物件が総額約150万円から狙える。
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フォルクスワーゲン パサートヴァリアント(8代目)×TSI コンフォートライン×全国中古車の選び方2:後期型ヴァリアントをお得に狙うなら「TSI エレガンス アドバンス」
先進的な機能が備わり、走行距離が少ないなどコンディションも良くて、しかもコスパがいいパサートヴァリアントが欲しいなら、後期型の高年式車が狙い目だ。中でも後期型の上級グレードである「TSI エレガンス アドバンス」のコスパの良さは注目に値するだろう。
原稿執筆時点で走行距離1万km未満を探すと、2021年式なら総額約370万円からメーカー系販売店でも見つけることができる。新車時の車両本体価格より約150万円、現時点の車両本体価格より約230万円も安く手に入れることができる。
ちなみに、同等の装備を備えるディーゼル車のTDI エレガンスラインは、同条件で約470万円以上。新車時の価格差は約40万円からかなり広がっている。それだけ1.5Lターボ車のTSI エレガンス アドバンスのコスパが光る。
当然、上級グレードだけあってほとんどの装備が備わっているので、お買い得感は十分高いだろう。
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フォルクスワーゲン パサートヴァリアント(8代目)×TSI エレガンス アドバンス×全国中古車の選び方3:セダン版をお得に狙うなら「TDI エレガンス アドバンス」
新型はステーションワゴン版のみでセダンがラインナップされていないのは前述のとおり。となると、旧型のセダンが気になってくる人もいるだろう。
価格だけを考えてセダンのパサートを狙うならやはり前期型が安く、例えば走行距離5万km未満でもメーカー系販売店で総額160万円の「TSI ハイライン」がヒットする。ただし、前期型自体の掲載台数が極めて少ないため、かなりこまめにチェックする必要がある。
もちろん前期型を狙うのもよいのだが、よりお得感があるものとして今回は後期型のディーゼル車の上級グレード「TDI エレガンス アドバンス」をオススメしたい。
後期型ゆえ、純正カーナビの機能や操作性がグンと向上しているし、ディーゼル車は後期型のATが6速から7速となってギアの切り替わりがスムーズになった。
また、210km/hまで車がアクセル・ブレーキ・ステアリングをサポートしてくれる“半自動運転機能”が向上しているなど、先進運転支援機能の機能向上も見逃せない。
それでいて、原稿執筆時点で走行距離1万km未満を探すと、2021年式でも総額約290万円からメーカー系販売店で見つけることができる。
ちなみに、パサートヴァリアントの同グレードは、同条件で探すと総額約410万円。つまりセダンの方が100万円以上安く狙えることになる。もちろん、新車時の車両本体価格より約250万円も安い。
そう聞くと、走行距離1万km未満のパサート「TDI エレガンス アドバンス」のお買い得感は、さらに増すのではないだろうか。
現段階では最後のセダン版パサート、ぜひチェックしてみてほしい。
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フォルクスワーゲン パサート(6代目)×全国ライター
ぴえいる
『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。先日、中古車のホンダeも加わった。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。