#備災情報

フォグランプは交換や後付けすべき? 防災効果とその選び方も解説

フォグランプは交換や後付けすべき? 防災効果とその選び方も解説
交通事故総合分析センターによると、霧発生時には「死亡事故に至るケースが通常の4倍にまで増える」というデータがあります。そこで、霧での運転時に点灯するフォグランプ(フォグライト)についてリサーチ。自動車用ランプを幅広く販売する「ベロフジャパン」に話を聞き、濃霧の運転に役立つ情報をまとめました。

フォグランプは霧専用だから見やすい

フォグランプを点灯している車


ヘッドランプは夜間に見通しの良い条件で遠くまで照らすことが前提。濃霧や大雨などの際に空中の水滴に光が反射し、かえって見えにくくなることがあります。

一方でフォグランプは文字どおり、霧(フォグ)の中で効果を発揮するランプ。車の手前を幅広く照らすことで、霧の中や豪雨でも視認性を高めてくれます。

さらに、フォグランプには、他車に自車の存在を知らせる役割も。霧の中では日中でも点灯するのが原則。車両前面のフォグランプだけでなく、車両後部に装備された「バックフォグ」も点灯しましょう。

光の特性から有効なフォグランプを知ろう

黄色い光のフォグランプ


一言でフォグランプと言っても種類は多種多様。防災観点で見比べる際は「光の色」と「バルブの種類」に注目するのが良いでしょう

霧の中では白より黄色いフォグランプが見やすい

濃霧や豪雨の中では黄色い光が見やすくなります。これは光の波長によるもの。白い光は波長が短いため、水滴などに反射して拡散してしまうのですが、黄色い光は波長が長く、反射せずに遠くまで届きます。

最近では白い光のフォグランプを装着している車が多くなっています。これは、見栄えの良さを優先した結果。ただ、防災観点では黄色い光のランプの方が有利となります。

霧の中でもハロゲンバルブよりLEDバルブが有利

ランプはどの種類のバルブを使ったかによっても、性能が変わります。フォグランプに使われるバルブには多くの種類がありますが、大きく「ハロゲンバルブ」「HID(ディスチャージドランプ)」「LEDバルブ」の3つに分類できます。

ハロゲンバルブは古くからあるタイプで、光が拡散する特性があります。そのため、強く明るい光を照射するのが苦手です。HIDは明るく強力な光を発することができ、光量だけなら最も優れたバルブと言えます。

LEDバルブはLED素子を的確な位置に装着することで、明確に範囲を決めて照らせるのが長所。ユニット全体が軽く、消費電力が少ないのも特徴です。

最近ではヘッドランプやフォグランプにLEDバルブを採用する車種が急増。特にマツダ車の「アダプティブLEDヘッドライト」ではLEDバルブの特性を生かし、状況に応じて照射範囲をコントロールすることでフォグランプの範囲までカバーしています。

LEDバルブは熱が発生しにくくなっています。これはメリットであると同時に、降雪時にはデメリットにもなります。ランプ本体に積もった雪が溶けにくく、光を妨げてしまうことがあるからです。LEDバルブ式を装着している車は、ランプに雪が積もったら小まめな掃除が必要です。

ケースによってはバルブ交換もアリ

社外品のフォグランプに交換した車


純正で装着されているフォグランプのバルブを社外品に交換することで、荒天下での視認性をさらに良くなる可能性があります。

社外フォグランプへの交換方法は製品によって異なりますが、ユーザーが簡単に交換できる製品が多数販売されています。一般的な、ハロゲンバルブからLEDバルブへの交換方法は次の動画を参照ください。


バルブ交換が効果的なケース

最近の純正バルブは高性能なので、社外品に変えても効果が少ないケースも多いです。ただ、以下のケースであればバルブを交換する意味があるかもしれません。フォグランプの交換を検討している人は、事前に確認してみてください。

【効果が期待できるケース1】純正ハロゲン→社外ハロゲン

同じハロゲンバルブでも、より明るい社外バルブに交換することで、視認性が向上します。さらに白い純正バルブから黄色い社外バルブに交換すれば、荒天下でも見やすくなります。

なお、車両によってはハーネスやヒューズなどが低ワット対応なことも。交換前に車両のワット数を確認。対応しきれない車両はリレーハーネスなどを別途用意して装着するケースなどが必要です。どのような対応をすべきかも、事前に必ず調べておくこと。

【効果が期待できるケース2】純正ハロゲン→HID

ハロゲンバルブからHIDに交換すると、光量アップが期待できます。バルブを交換するだけでなく、インバータなど専用の部品を装着する必要がありますが、パーツ一式をパッケージとした製品もあります。

【効果が期待できるケース3】純正ハロゲン→LED

純正ハロゲンバルブからLEDバルブに交換することで大幅に明るくなり、明暗がくっきりして見やすくなります。純正ハロゲンバルブからLEDバルブも簡単に交換できる製品があり、白い光(6500ケルビン)と黄色い光(2900ケルビン)を天候に応じて切り替えられる製品も販売されています。

【効果が期待できるケース4】純正LED→HID

「LEDバルブでは光量が足りない」という人は、HIDに交換するのも手。ただしLEDとHIDでは求められる耐熱性が異なるため、レンズユニット一式を丸ごと交換する必要があります。車種別にレンズとバルブのキットが用意されています。

ハーネスやヒューズなどが低ワット対応な車両があるので、ワット数も要確認。対応しきれない車両はリレーハーネスなどを別途用意して装着するなどが必要です。事前にどのような対応をすべきか必ず調べておきましょう。

【効果が期待できるケース5】純正LED→社外LED

通常、純正LEDバルブの光量は控えめに作られており、色も白が一般的。社外LEDバルブに交換すればより明るくしたり、色を黄色に変更したりすることが可能です。

車にフォグランプが付いてなくても後付けできる

フォグランプを後付けする車


フォグランプが装着されていない車両の場合は当然、フォグランプを増設しなければなりません。上位グレードやオプション装備に純正フォグランプが設定されている車なら、部品一式を取り寄せて装着する方法があります。

しかし、そうでない場合は、バンパーへの穴開け加工など大規模な改造をしてランプユニットごと付ける必要があります。人によってはDIYすることも可能でしょうが、安全性などを考慮すると専門の業者に依頼するのが無難でしょう。

フォグランプの後付けで注意すべきこと

もともと装備されていない車にフォグランプを増設する場合や、車検適合品でないフォグランプを使う場合は、車検の保安基準を留意する必要があります。

色や取り付け位置など基準が細かく決まっており、その規定は車両の年式によって異なります。代表的な規定は下記のとおり。自分でカスタムしない場合にも、フォグランプを増設するなら知識として知っておくと良いでしょう。

  • 色は白色または淡黄色(目視による判断)。すべて同一の色を使用
  • フォグランプ上縁は地上から800mm以下。かつヘッドライト上縁の水平以下
  • フォグランプ下縁は地上から250mm以上
  • フォグランプの外側の縁は車幅の最外側から400mm以内
  • 他の交通を妨げない照射光線であること
  • 同時に3個以上点灯できるものはNG
取材先
ベロフジャパン

ベロフジャパン。自動車用品メーカー。LEDバルブをはじめとしたライティングシステムやワイパーなど安全性を高めるアイテムを開発、製造販売している。LAMMODO社の日本総代理店でもある(公式HP

 
CREDIT
写真: ベロフジャパン、Adobe Stock
文: 田端邦彦(ACT3)
 
参考: 交通事故総合分析センター『2020年 交通事故統計表データ』