ポルシェ 911カレラ4S|伊達セレクション
写真上は996型ポルシェ 911の後期モデルから登場した「カレラ4S」。写真下の「ターボ」と同形状のワイドボディを採用した自然吸気エンジン搭載の4輪駆動モデルだ。素の996型カレラはさすがにちょっと古い雰囲気も出てきたが、ターボボディのこの2グレードであれば存在感は今なお十分以上だ。
ポルシェ 911ターボ|伊達セレクション
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ポルシェ911は最新型も2世代前もほとんど同じ?

過日、約半年ぶりに最新世代のポルシェ 911である「タイプ991」に乗る機会があった。天下のポルシェの最新作であり、試乗したカレラ4Sはそもそも1500万円超級のウルトラ高級車ゆえ、文句のつけどころなどあろうはずもなかった。素晴らしい車であった。

しかし同時に、「……これってある意味、旧型の997とかその前の996とほとんど同じじゃないすか?」と思ったのも事実だ。

いやもちろん、筆者などより数千倍は敏感な感覚とテクをお持ちのレーサー諸氏がタイプ991をサーキットに持ち込めば、旧型や旧々型との違いを事細かに論評できるのだろう。しかし、筆者のようなごくフツーのドライバーが、公道でごく普通に走らせる限りにおいては、2013年モデルの991型カレラ4Sも2009年モデルの997型カレラPDKも、ほとんど区別がつかなかった。

車に対する「感度」のようなものは人それぞれなので、筆者のとらえ方が万人に当てはまるとは思わない。しかし、おそらく大多数の人は、最新911もちょっと前の911も(公道でフツーに乗る限りは)似たようなモノと感じることだろう。良い意味でも悪い意味でも「911は、いつだって911」なのだ。

走りは(ある意味)同じなのに値段は約4分の1

さて、最新のタイプ991もちょっと前の997や996も「ほとんど似たようなもの」と考えた場合、俄然光ってくるのが旧世代911の中古車、とくに2世代前にあたるタイプ996の中古車である。なにせ、新車のカレラ4Sを買おうと思ったらオプション込みで総額2000万円近くにはなるはずだが、タイプ996カレラ4Sやターボのユーズド品であれば、ざっくり4分の1でイケてしまうのだから。

価格が4分の1だから走りも4分の1なのかといえば、前述のとおりまったくそんなことはない。反論もあろうが、公道における両者の走りは断じて「似たようなもの」である。

そして輸入車にとって性能と同じぐらい、いや、もしかしたらそれ以上に大事な要素かもしれない「オーラ」も、タイプ996は十分以上。996のなかでも前期型や、後期型でも素のカレラはさすがに「ちょっと中途半端に古いかも……」と思わせるものがあるが、後期型から登場したカレラ4Sや、そもそも車名どおりターボボディをまとっているターボであれば、2013年の今でも全然イケていると筆者は考える。

もちろん、最新世代のタイプ991が素晴らしい車であることは冒頭のとおり間違いないし、「初モノ」や「旬のモノ」を愛でる意味でタイプ991を求めるのも当然アリだ。また、サーキットや都市高速などを1秒でも速く周回したいのであれば、最新世代であるタイプ991のほうがはるかに有利だろう。しかし、そこにこだわらないなら、タイプ996のカレラ4Sとターボは断然狙い目なのである。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
タイプ996の後期カレラ4Sとターボ、本気でオススメです!


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE